中古住宅を探していると、
「新築より価格を抑えて購入できる」
という点に魅力を感じる人も多いと思います。
ただし、住宅購入で考えたいのは物件価格だけではありません。
中古住宅では、購入後に、
- 入居前のリフォーム
- 給湯器やエアコンの交換
- 外壁や屋根のメンテナンス
- キッチンや浴室など水回りの更新
といった費用が必要になることがあります。
購入価格を抑えられても、買った直後や数年後に大きな出費が重なれば、家計への負担は大きくなります。
だからこそ、中古住宅の予算は、
購入価格+購入後にかかるお金
まで含めて考えることが大切です。
今回は、中古住宅を購入した当事者でもある3児パパの「きつね」が、宅地建物取引士・FPの視点も交えながら、中古住宅の修繕費と備え方を整理します。
- 結論|中古住宅は「購入価格」だけで予算を決めない
- 中古住宅購入後にかかる主なお金
- 中古住宅の修繕・リフォーム費用の目安
- 給湯器やエアコンなどの設備はいつか交換する
- 外壁・屋根・防水にもメンテナンスが必要
- 水回りは「古い=すぐ交換」ではない
- 内見では「今使えるか」だけでなく「いつ交換しそうか」を見る
- 「リフォーム済み物件」でも工事内容を確認する
- 中古住宅の修繕費はいくら用意すればいい?
- 「わが家の修繕予定表」を作ってみる
- 見積りは総額だけで比較しない
- 住宅ローンとは別に修繕費を考える
- 3児家庭では教育費との重なりにも注意
- 修繕費までNISAで準備する?
- 中古住宅を購入したわが家でも感じたこと
- 中古住宅を買う前のチェックリスト
- まとめ|「買える家」ではなく「持ち続けられる家」を選ぶ
結論|中古住宅は「購入価格」だけで予算を決めない
最初に結論です。
例えば、物件価格3,000万円の中古住宅を見つけたとしても、
「3,000万円なら買える」
と、物件価格だけで判断するのはおすすめできません。
中古住宅の購入前後には、大きく分けて次の3つのお金がかかります。
- 購入時の諸費用
- 購入直後のリフォーム・家具・家電
- 数年後から必要になる修繕・設備交換
つまり、確認したいのは住宅ローンの借入額だけではありません。
購入後の修繕費を支払っても、生活費や教育費に必要な現金を残せるかまで考える必要があります。
購入時の仲介手数料、登記費用、住宅ローン関係費用、税金などについては、次の記事で詳しく整理しています。
▶ 中古住宅を買うとき、物件価格以外にいくら必要?諸費用と購入後のお金を宅建士が解説
この記事では、その中でも「家を買った後にかかるお金」を詳しく考えていきます。
中古住宅購入後にかかる主なお金

中古住宅を購入した後の費用は、「いつ必要になるか」で分けると整理しやすくなります。
| 時期 | 主に考えたい費用 |
|---|---|
| 購入直後 | リフォーム、ハウスクリーニング、引っ越し、家具、家電、カーテン、エアコン |
| 数年後 | 給湯器、エアコン、食洗機、コンロ、換気扇、トイレなど |
| 中長期 | 外壁、屋根、防水、雨どい、水回り、配管など |
すべての住宅で、同じ時期に同じ修繕が必要になるわけではありません。
建物の築年数だけでなく、
- 設備の製造年
- 過去の修繕履歴
- 使用状況
- 建材や設備の種類
- 日当たりや風雨などの環境
- 前の所有者による管理状態
によって変わります。
そのため、中古住宅の修繕費は「築○年なら○万円」と一律に考えるのではなく、購入する住宅ごとに整理する必要があります。
中古住宅の修繕・リフォーム費用の目安
「結局、修繕にはいくらかかるの?」
という点が、最も気になるところだと思います。
住宅リフォーム・紛争処理支援センターが公開している2026年版の戸建住宅モデル見積事例では、次のような費用が示されています。
| 工事内容 | モデル見積りの総額 |
|---|---|
| 洗面台をシステムドレッサーへ交換 | 約57万~68万円 |
| キッチンのレイアウト変更 | 約136万~166万円 |
| 在来浴室をシステムバスへ変更 | 約130万~155万円 |
| 外壁の塗り替え | 約85万~116万円 |
ただし、これは特定のモデル住宅と工事仕様を前提とした見積事例です。
実際の費用は、
- 住宅の大きさ
- 設備のグレード
- 下地の傷み
- 配管の移動
- 足場の有無
- 搬入条件
- 処分費
- 地域や施工会社
などによって変わります。
同サイトでも、下地補修や追加工事、運搬搬入費などが別途発生する場合があると説明されています。
したがって、上の金額は「この金額で必ず工事できる」という相場ではなく、
まとまった修繕には、数十万円から100万円を超える費用が発生する場合がある
と理解するための参考値として見てください。
給湯器やエアコンなどの設備はいつか交換する
住宅設備は、今使えているからといって、これから何十年も使えるとは限りません。
中古住宅で確認したい主な設備には、次のようなものがあります。
- 給湯器
- エアコン
- 食洗機
- IHクッキングヒーター・ガスコンロ
- レンジフード・換気扇
- 温水洗浄便座
- 浴室暖房乾燥機
- インターホン
経済産業省は、長期間使用する製品について、経年劣化による事故を防ぐための「長期使用製品安全表示制度」などを設けています。
例えば対象となるエアコンや換気扇などには、製造年や「設計上の標準使用期間」が表示されます。
経済産業省「長期使用製品安全点検・表示制度」
ただし、ここで注意したいのは、
設計上の標準使用期間=その年に必ず壊れるという意味ではない
ことです。
使用頻度や設置環境によって、もっと長く使える場合もあれば、早く不具合が出る場合もあります。
内見時には「動くか」だけでなく、本体に記載された製造年や交換履歴も確認しておきましょう。
外壁・屋根・防水にもメンテナンスが必要
戸建住宅を所有する場合、設備だけでなく建物の外側にも修繕が必要です。
主に確認したいのは、
- 外壁
- 屋根
- シーリング
- バルコニー防水
- 雨どい
- 軒裏
- 基礎
などです。
住宅金融支援機構が示す木造一戸建て住宅の維持管理資料でも、外壁、屋根、バルコニー、雨どいなどについて定期的な点検・補修が案内されています。
住宅金融支援機構「マイホーム維持管理の目安」
ただし、メンテナンス時期は外壁材や屋根材、塗料、防水工法、立地条件などによって異なります。
そのため、
「築10年だから必ず外壁塗装」
「築20年だから屋根を交換」
と年数だけで決めるのではなく、現在の状態と過去の工事履歴を確認することが重要です。
中古住宅の築年数と修繕履歴の見方については、次の記事でも詳しく解説しています。
▶ 中古住宅は築何年までなら買って大丈夫?築年数より大切な5つのチェックポイント
水回りは「古い=すぐ交換」ではない
中古住宅を購入するとき、特に気になりやすいのが水回りです。
- キッチン
- 浴室
- トイレ
- 洗面所
が古いと、「入居前にすべて新しくしたい」と感じることもあります。
もちろん、劣化や漏水などがあれば修繕が必要です。
しかし、古くても問題なく使用できるなら、そのまま使う選択肢もあります。
ここで整理したいのが、
必要な修繕と、やりたいリフォームは別
ということです。

必要な修繕
- 水漏れしている
- 排水に問題がある
- 設備が故障している
- 建物への被害につながる
- 安全面に問題がある
やりたいリフォーム
- デザインを新しくしたい
- もっと広い浴室にしたい
- 対面キッチンに変更したい
- 収納を増やしたい
- 最新設備へ交換したい
希望するリフォームを否定する必要はありません。
ただし、すべてを「入居に必要な費用」として考えると、住宅予算が大きくなりやすくなります。
優先順位を付けて、
- 入居前に必要な工事
- 数年以内に行いたい工事
- 余裕ができたら行う工事
に分けると判断しやすくなります。
内見では「今使えるか」だけでなく「いつ交換しそうか」を見る
中古住宅の内見では、設備が正常に動いているかを確認します。
しかし、それだけでは十分ではありません。
例えば、給湯器が問題なく動いていても、製造から長い年数が経過していれば、購入後早い段階で交換が必要になる可能性があります。
内見時には、次の点を確認してみましょう。
- 給湯器の製造年
- エアコンの製造年
- 外壁塗装を行った時期
- 屋根の点検・補修履歴
- バルコニー防水の工事履歴
- 水回りの交換時期
- 雨漏りや水漏れの履歴
- シロアリ点検・防蟻処理の履歴
自分で判断できない部分は、仲介会社や売主へ確認します。
気になる住宅については、ホームインスペクションを利用するのも選択肢です。
内見時の具体的な確認項目は、こちらにまとめています。
▶ 中古住宅の内見で見るべきポイント15選|宅建士が教える後悔しないチェックリスト
「リフォーム済み物件」でも工事内容を確認する
「リフォーム済み」と書かれている中古住宅は、室内がきれいで、そのまま入居しやすい点が魅力です。
ただし、「リフォーム済み」という言葉だけでは、どこまで工事を行ったのか分かりません。
例えば、
- 壁紙だけを張り替えた
- 床も交換した
- キッチンや浴室を交換した
- 給湯器を交換した
- 外壁を塗装した
- 屋根や防水まで修繕した
では、工事の意味も今後必要になる費用も大きく違います。
確認したいのは、
リフォーム済みかどうかではなく、いつ・どこを・どのように工事したか
です。
できれば、工事内容が分かる書類や設備の保証書、施工前後の写真なども確認しましょう。
室内がきれいでも、外壁・屋根・給湯器などには手を付けていない場合があります。
見た目だけで判断せず、建物全体で考えることが大切です。
中古住宅の修繕費はいくら用意すればいい?
修繕費について、
「毎月1万円積み立てれば大丈夫?」
「購入時に100万円残せば足りる?」
と考える人もいると思います。
しかし、すべての中古住宅に当てはまる金額はありません。
同じ築15年の家でも、
- 外壁塗装を終えたばかりの家
- 一度も外壁を修繕していない家
- 給湯器を交換したばかりの家
- 新築時から同じ設備を使用している家
では、購入後に必要になるお金が違うからです。
私なら、最初に積立額を決めるのではなく、
購入する住宅の状態から、今後の修繕予定を逆算する
という順番で考えます。
「わが家の修繕予定表」を作ってみる

修繕費を考えるときは、設備や建物を一覧にした「修繕予定表」を作ると分かりやすくなります。
例えば、次のように整理します。
| 想定時期 | 設備・場所 | 現在の状態 | 対応 |
|---|---|---|---|
| 購入時 | 水回り | 使用可能 | 当面そのまま使う |
| 1~5年 | 給湯器 | 製造年が古い | 見積り・交換資金を準備 |
| 5~10年 | 外壁 | 前回工事時期を確認 | 点検後に判断 |
| 5~10年 | エアコン | 部屋ごとに年式が違う | 古い順に交換を検討 |
| 10年以降 | 屋根・防水 | 状態不明 | 専門業者の点検を検討 |
ポイントは、
- いつ
- 何が
- どのような状態で
- いくらくらい必要になりそうか
を一つずつ整理することです。
正確な交換時期まで予測する必要はありません。
「給湯器と外壁が同じ年に重なるかもしれない」と分かるだけでも、現金の準備がしやすくなります。
見積りは総額だけで比較しない
修繕やリフォームを依頼するときは、できれば複数社から見積りを取りましょう。
ただし、単純に総額が安い会社を選べばよいとは限りません。
確認したいのは、
- 工事範囲
- 使用する商品や材料
- 解体・撤去費
- 処分費
- 足場代
- 養生費
- 諸経費
- 保証内容
- 追加工事が発生する条件
などです。
見積りに含まれていない項目が多ければ、工事開始後に追加費用が発生する可能性があります。
特に水回りや外壁・屋根は、解体や点検をしてから下地の傷みが見つかることもあります。
安さだけではなく、工事範囲と追加費用の条件まで比較しましょう。
住宅ローンとは別に修繕費を考える
毎月の住宅ローン返済額が8万円だったとしても、
住宅にかかるお金=月8万円
ではありません。
持ち家では、住宅ローンのほかに、
- 固定資産税
- 火災保険・地震保険
- 修繕費
- 設備の交換費
- 庭や外構の維持費
などがかかります。
そのため、住宅ローンを無理なく返せるか考えるときは、毎月の返済額だけでなく、購入後の維持費も含める必要があります。
▶ 住宅ローンはいくらまでなら無理なく返せる?年収だけで決めない5つの考え方【3児パパ宅建士・FPが解説】
銀行から借りられる金額ではなく、
修繕費を準備しながら返し続けられる金額か
という視点が大切です。
3児家庭では教育費との重なりにも注意
3人の子どもを育てる家庭では、住宅修繕費だけを単独で考えることができません。
例えば10年後に、
- 上の子の大学進学
- 下の子たちの進学費用
- 外壁の修繕
- 給湯器の交換
- 車の買い替え
などが重なる可能性があります。
教育費と住宅修繕費は、それぞれ必要なお金です。
しかし、実際にはどちらも同じ家計から支払います。
だからこそ、
教育費と住宅修繕費を別々に考えず、必要になる時期を一つの表にまとめる
ことが大切です。
教育費・住宅ローン・NISAを含めた3児家庭のお金の考え方は、こちらの記事でも整理しています。
▶ 3人の子どもがいる家庭はいくら貯金すべき?教育費・住宅ローン・NISAをまとめて考えてみた
修繕費までNISAで準備する?
将来の修繕費をNISAで準備した方がよいのか、迷う人もいるかもしれません。
私なら、数年以内に必要になる可能性が高い修繕費は、基本的に現金で確保します。
投資には値動きがあり、必要なときに資産価格が下落している可能性があるからです。
例えば、
- 古い給湯器の交換費
- 近いうちに予定している外壁工事
- 入居後に行う水回りリフォーム
など、使う時期が近いお金まで無理に投資へ回す必要はありません。
一方、長期間使わない資金については、NISAを利用した資産形成も選択肢になります。
大切なのは、
貯金かNISAかの二択ではなく、使う時期でお金の置き場所を分けること
です。
中古住宅を購入したわが家でも感じたこと
私自身、中古住宅を購入して感じたのは、
家は買って終わりではない
ということです。
内見や契約のときには気付かなかったことでも、実際に住み始めると、
「ここは直した方がよさそう」
「この設備は、そろそろ交換時期かもしれない」
と感じることがあります。
設備の不具合が突然発生することもあります。
ただし、これは「中古住宅は買わない方がいい」という意味ではありません。
中古住宅は購入価格を抑えられる可能性があり、その分の現金を修繕費や教育費として残すこともできます。
重要なのは、安く買うことだけではありません。
買った後も、家族が無理なく持ち続けられる家を選ぶ。
それが、住宅購入後の家計を守ることにつながると考えています。
中古住宅を買う前のチェックリスト
購入を決める前に、次の項目を確認してみましょう。
- □ 過去の修繕履歴はある?
- □ 給湯器は何年製?
- □ エアコンや食洗機などの製造年は?
- □ 外壁・屋根の状態は?
- □ 外壁塗装や屋根補修を行った時期は?
- □ 水回りはそのまま使える?
- □ 入居前に必要なリフォームは?
- □ 「必要な修繕」と「やりたいリフォーム」を分けた?
- □ 5年以内に交換しそうな設備は?
- □ 修繕用の現金を残せる?
- □ 教育費や車の買い替えと時期が重ならない?
- □ 住宅ローン返済後も積み立てを続けられる?
すべてを正確に予測することはできません。
それでも、購入前に一度整理しておけば、買った後の想定外を減らせます。
まとめ|「買える家」ではなく「持ち続けられる家」を選ぶ
中古住宅は、物件価格だけで判断しないことが大切です。
購入時の諸費用。
購入直後のリフォーム。
数年後の設備交換。
将来の外壁・屋根・水回りの修繕。
そして、子どもの教育費や家族の資産形成。
これらは、すべて同じ家計から支払います。
だから考えたいのは、
「この家を買えるか?」だけではなく、「この家を無理なく持ち続けられるか?」
ということです。
中古住宅は一軒一軒、状態が違います。
過去の修繕履歴を確認する。
設備の年式を見る。
今後必要になりそうな工事を整理する。
修繕費を残したうえで住宅予算を決める。
こうした準備をしておけば、中古住宅購入後の家計を守りやすくなります。
安く買うだけではなく、買った後も無理なく暮らせる家を選ぶ。
家を買う。
子どもを育てる。
資産をつくる。
この3つを切り離さずに考えていきたいと思います。


コメント