住宅ローンはいくらまでなら無理なく返せる?年収だけで決めない5つの考え方【3児パパ宅建士・FPが解説】

住まい・不動産

「住宅ローンって、いくらまで借りても大丈夫なんだろう?」

家を探し始めると、一度は考える疑問ではないでしょうか。

銀行の住宅ローンシミュレーションに年収を入力すると、

「こんなに借りられるの?」

と思うような金額が表示されることもあります。

でも、

「借りられる金額」と「無理なく返せる金額」は同じではありません。

特に子育て家庭では、住宅ローン以外にも、

  • 教育費
  • 車
  • 家の修繕
  • 家族旅行
  • 老後資金
  • 資産形成

など、これからたくさんのお金が必要になります。

私は3児を育てる会社員で、宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・FP2級の資格を持っています。

自分自身も住宅購入を経験して感じるのは、

住宅ローンは「いくら借りられるか」から考えない方がいい

ということです。

今回は、子育て家庭が住宅ローンを考えるときに大切にしたい5つのポイントを整理します。


結論|「年収の○倍」だけでは決めない

住宅ローンについて調べると、

「年収の5倍まで」

「年収の7倍なら大丈夫」

「返済負担率は○%以内」

といった目安を見かけます。

確かに目安として参考にはなります。

でも、例えば同じ年収800万円の家庭でも、

子どもがいない家庭

と、

子どもが3人いる家庭

では、将来必要になるお金が違います。

同じ子ども3人でも、

公立中心なのか。

私立を考えているのか。

車が必要なのか。

貯金がいくらあるのか。

共働きなのか。

家庭によって状況は違います。

だから私は、

「年収から借入可能額を出す」のではなく、「住宅ローンを返したあとに何を残したいか」から逆算する。

という考え方が大切だと思っています。

具体的には次の5つです。

① 毎月いくらなら無理なく返せるか

② 教育費を確保できるか

③ 購入後も現金を残せるか

④ 金利が上がっても返せるか

⑤ 住宅ローンを払いながら資産形成できるか

順番に考えていきます。


①「借りられる額」ではなく「毎月返せる額」から考える

まず考えたいのは、

住宅ローンをいくら借りられるか

ではありません。

毎月いくらなら無理なく払えるか

です。

例えば住宅ローンの返済が、

月8万円

月10万円

月12万円

月15万円

では、家計への影響が大きく違います。

ここで重要なのは、

今の家賃と同じなら大丈夫

とも限らないことです。

持ち家になると住宅ローン以外にも費用がかかります。

例えば、

  • 固定資産税
  • 火災・地震保険
  • 修繕費
  • 駐車場・管理費等(物件による)

などです。

戸建ての場合、マンションのように毎月修繕積立金を支払わなくても、

自分で将来の修繕に備える必要があります。

住宅ローン返済額だけを見て、

「今の家賃と変わらないから大丈夫」

と判断しないようにしたいところです。

また、中古住宅では「自分はいくら借りられるか」だけでなく、「購入する物件で希望する金額・期間を借りられるか」という視点も必要です。築年数や物件条件も含めた住宅ローンの考え方は、中古住宅でも住宅ローンは組める?審査・築年数・借入期間の注意点を宅建士・FPが解説で詳しく解説しています。


② 子育て家庭は「教育費のピーク」まで考える

子育て家庭で住宅ローンを考えるなら、特に重要なのが教育費です。

住宅を購入するとき、

子どもがまだ小さい家庭も多いと思います。

この時期は教育費が比較的少ないため、

「この住宅ローンでも余裕がある」

と感じるかもしれません。

でも10年後はどうでしょう。

高校。

大学。

塾。

受験。

一人暮らし。

などが重なる可能性があります。

特に子どもが複数いる家庭では、

教育費のピークと住宅ローン返済が重なる

ことを考えておきたいところです。

9歳・6歳・2歳の3人家庭を例に、大学進学までの教育費の重なり方を次の記事で整理しています。

▶ 子ども3人の教育費ピークはいつ?大学進学までにいくら準備する?

「子ども3人、いくら貯金すればいい?」というテーマについては、こちらの記事で詳しく整理しています。

▶ 子ども3人、いくら貯金すればいい?教育費・住宅ローン・NISAを3児パパFPが考える

住宅ローンを組んだ直後ではなく、

10年後、15年後でも払えるか。

ここまで想像します。


③ 頭金を入れすぎず「購入後の現金」を残す

「住宅ローンは借金だから、できるだけ頭金を入れた方がいい」

と考える人もいると思います。

もちろん、頭金を入れれば借入額を減らせます。

しかし、

現金をほとんど使って住宅を買う

ことにもリスクがあります。

家を購入すると、その直後から予想外のお金が出ていくことがあります。

例えば、

「エアコンが壊れた」

「給湯器を交換することになった」

「車を修理することになった」

「子どもの進学でまとまったお金が必要になった」

などです。

特に中古住宅の場合は、

購入後の修繕費

も考えておく必要があります。

中古住宅の購入時・購入後にかかる費用については、こちらの記事でまとめています。

▶ 3,000万円の中古住宅は3,000万円では買えない?物件価格以外に必要なお金

大切なのは、

住宅ローン残高をできるだけ小さくすること

だけではありません。

家を買ったあとも、ある程度自由に使える現金を残しておく。

これも住宅購入のリスク管理だと考えています。

住宅ローンの借入額を減らすために頭金を多く入れる方法もありますが、購入後の現金を減らしすぎないことも大切です。住宅購入後に現金はいくら残す?では、生活防衛資金・修繕費・教育費まで含めて、頭金に使えるお金をどう考えるか整理しています。


④ 変動金利なら「金利が上がった場合」も計算する

住宅ローンを考えるときは、

現在の金利だけで返済計画を作らない

ことも重要です。

特に変動金利の場合、将来も現在と同じ金利が続くとは限りません。

そこで、

金利が上昇したら返済額がどうなるか

も確認しておきます。

例として、3,000万円を35年間、元利均等返済・ボーナス返済なしで借りた場合を単純計算してみます。

金利毎月返済額の概算
1.0%約8.5万円
1.5%約9.2万円
2.0%約9.9万円
2.5%約10.7万円
3.0%約11.5万円

※概算です。実際の返済額や金利の適用方法は金融機関・商品によって異なります。

1%と3%では、

毎月約3万円

の差になります。

年間なら約36万円。

子育て家庭にとって小さな差ではありません。

だから、

今の金利なら払える

ではなく、

少し金利が上がっても家計を維持できる

くらいの余裕を持っておく方が安心です。


⑤ 住宅ローンを払いながら「資産形成できるか」

ここが「家と資産」で最も大切にしたい部分です。

住宅を購入するとき、

住宅価格だけを最大化する必要はない

と思っています。

例えば住宅ローンを返すために、

NISAへの積立を完全にやめる。

家族旅行をほとんどしない。

子どもの経験に使うお金を極端に減らす。

貯金がほとんど増えない。

という状態になってしまったらどうでしょう。

立派な家には住めても、

家計全体では苦しくなる

可能性があります。

住宅ローンを返しながら、

貯金する。

投資する。

家族で出かける。

教育費を準備する。

こうした選択肢を残しておきたいところです。

だから、

「いくらの家を買えるか」

ではなく、

「家を買ったあと、毎月いくら残せるか」

を見ます。


住宅ローンの予算は「残したいお金」から逆算する

例えば手取り収入から、

生活費

教育費

保険

車

住宅維持費

貯金

NISAなどの資産形成

家族で使うお金

を引いてみます。

そして最後に、

住宅に毎月いくら使えるか

を考えます。

イメージとしては、

手取り収入
− 生活費
− 教育費
− 将来への貯蓄・投資
− その他必要なお金
= 住宅に使えるお金

です。

「年収○万円だから○千万円借りる」

という順番ではありません。

暮らしから住宅予算を決める。

この順番です。


住宅ローン返済後に家計の余力が残っても、その全額をNISAへ回せるとは限りません。

生活防衛資金、近い教育費、住宅修繕費を差し引き、無理なく続けられる毎月のNISA額を決める方法はこちらで解説しています。

▶ 子ども3人家庭、NISAはいくら積み立てる?教育費・住宅ローンから考える毎月の積立額

それから住宅予算を考えるときは、「どれくらいの広さ・部屋数が本当に必要なのか」も一緒に考えたいところです。

特に子どもが3人いるからといって、必ずしも大きな家が必要とは限りません。もう1部屋増やすために住宅価格を上げるのか、教育費や資産形成に余白を残すのかも、家族ごとに考えたいポイントです。

▶ 子ども3人なら何LDK必要?5人家族の間取りと子ども部屋の考え方


3,000万円を借りた場合を考えてみる

例えば、

借入額3,000万円
35年返済
金利1%

なら、毎月返済額は概算で約8.5万円です。

でも、

「8.5万円払えるから3,000万円借りられる」

ではありません。

ここに、

固定資産税。

保険。

将来の外壁・屋根修繕。

給湯器。

エアコン。

なども加わります。

例えば住宅関連費として毎月一定額を別に積み立てるなら、その分まで含めて住宅コストとして考えます。

これが、

「住宅ローン返済額」と「住宅にかかるお金」の違い

です。


中古住宅なら「住宅価格を抑えて余白を作る」という考え方もある

ここで中古住宅という選択肢が出てきます。

例えば、

4,000万円の住宅を買う。

それとも、

3,000万円の中古住宅を買い、必要なところを直す。

どちらが正解というわけではありません。

でも、

住宅価格を抑えることで家計に余白を作る

という考え方はできます。

その余白を、

教育費。

NISA。

家族旅行。

将来の修繕。

などに回すこともできます。

ただし中古住宅なら何でも安く済むわけではありません。

建物の状態によっては購入後に修繕費が必要になります。

そのため、購入前の内見も重要です。

▶ 中古住宅の内見で見るべきポイント15選|宅建士が教える後悔しないチェックリスト


「住宅ローンを早く返すこと」だけが正解ではない

住宅ローンを組むと、

「できるだけ早く完済したい」

と思う人もいるでしょう。

もちろん借入残高を減らせば、将来支払う利息を減らせます。

一方で、

繰上返済に使った現金は手元からなくなります。

そのため、

住宅ローンを繰上返済する。

現金として持つ。

NISAなどで長期運用する。

教育費として確保する。

という選択肢を比較する必要があります。

どれか一つが絶対的な正解ではありません。

家庭の資産状況や金利、必要になる時期によって変わります。

私は、

「住宅ローン残高を最速でゼロにすること」より、「家計全体の選択肢を残すこと」

を重視したいと考えています。


住宅ローンを組む前に確認したい5つの質問

最後に、住宅購入前に家族で考えてみたい質問をまとめます。

① この返済額を10年後も払えそう?

今ではなく、教育費が増えた未来も考えます。

② 金利が上がっても大丈夫?

変動金利なら返済額が増えたケースも試算します。

③ 家を買ったあと現金はいくら残る?

頭金や諸費用を払ったあとの預貯金を確認します。

④ 住宅ローンを払いながら貯金・投資できる?

「返済だけで精いっぱい」にならないか確認します。

⑤ 家族で使うお金を残せる?

旅行やお出かけ、子どもの経験まで全部削らなくても暮らせるか考えます。

5つとも大丈夫そうなら、

「借りられる住宅ローン」から「返していける住宅ローン」

に近づいていると思います。


中古住宅の住宅ローンを選ぶときは、金利だけでなく、借入期間・手数料・団信・リフォームへの対応などを同じ条件で比較することが大切です。

具体的な比較ポイントについては、中古住宅の住宅ローンはどこがいい?金利だけで選ばない7つの比較ポイントを宅建士・FPが解説で詳しく整理しています。


まとめ|家を買ったあとに「何を残せるか」

無理なく返せる住宅ローンの金額を考えるには、住宅ローン以外の住居費や、子どもの成長に伴う教育費の増加も見込む必要があります。

特に子ども3人家庭では、毎月の生活費・教育費・貯蓄を確保したうえで住居費を逆算する方法が役立ちます。具体的な計算例は、子ども3人家庭の住居費はいくらが適正?住宅ローン・教育費・貯金を両立する考え方で解説しています。

住宅ローンはどうしても、

「いくら借りられる?」

が最初の疑問になります。

でも本当に考えたいのは、その先です。

住宅ローンを払って、

教育費を準備して、

生活防衛資金を残して、

将来のために資産形成をして、

ときには家族旅行にも行く。

だから住宅予算を考えるときは、

いくらの家を買えるかではなく、家を買ったあとに何を残せるか。

という視点を持ちたいと思っています。

住宅は人生で大きな買い物です。

でも、

住宅を買うこと自体が人生のゴールではありません。

家を買う。

子どもを育てる。

資産をつくる。

この3つを無理なく続けられる住宅ローンを考えることが、「家と資産」で伝えていきたい住宅購入の考え方です。

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