「子どもが3人いると、教育費はいくらかかる?」
3児家庭なら、一度は気になるのではないでしょうか。
子ども1人にかかる教育費の総額を調べると、数百万円、大学まで含めれば1,000万円を超えるケースなど、大きな数字が並びます。
ただ、その金額を見ただけでは、実際の家計への影響は分かりません。
3人家庭で特に考えたいのは、
いつ、誰に、いくら必要になるのか
という教育費の「時間軸」です。
子どもの年齢差によっては、
- 長男が大学
- 長女が高校
- 次女が中学
といった形で、教育費が重なる時期もあります。
しかも、その時期にも住宅ローンや固定資産税、住宅の修繕費、老後に向けた資産形成は続きます。
今回は、3人の子どもを育てながら住宅ローンを返している3児パパの「きつね」が、FPの視点も交え、公的データを確認しながら、教育費を総額ではなく「ピーク」から考える方法を整理します。
※この記事の金額・制度は2026年9月時点で確認しています。将来の教育費や支援制度を保証するものではありません。
結論|3人家庭は「いくら?」より「いつ重なる?」を見る
最初に結論です。
子どもが3人いる家庭では、教育費の総額だけでなく、
3人それぞれのお金が、いつ必要になるのか
を見ることが大切です。
例えば、この記事では次のようなモデル家庭を考えます。
- 長男:9歳
- 長女:6歳
- 次女:2歳
これは、わが家と同じ年齢構成です。
現在は小学生2人と未就学児1人ですが、時間がたつと、それぞれの進学段階が変わります。
約9年後には長男が大学進学期、長女が高校進学期を迎えます。
さらにその数年後には、長女の大学進学期がやってきます。
つまり、3人家庭の教育費を考えるときは、
3人分の総額を計算する
だけではなく、
教育費が最も重くなる時期を見つける
必要があります。
以下の年齢・進学時期は、教育費の重なり方をイメージするためのモデルケースです。実際の入学年度は誕生日、現在の学年、進学先などによって異なります。
まず、子どもの教育費はいくらかかる?
幼稚園から高校までの教育費については、文部科学省の「令和5年度 子供の学習費調査」が参考になります。
なお、この調査は2026年1月16日に数値の訂正が行われています。この記事では、文部科学省が公表した訂正後の数値を使用します。
公立に通った場合の、子ども1人あたりの年間学習費総額は次のとおりです。
| 学校段階 | 年間の学習費総額 |
|---|---|
| 公立幼稚園 | 18万4,646円 |
| 公立小学校 | 36万6,599円 |
| 公立中学校 | 54万2,450円 |
| 公立高校(全日制) | 59万6,954円 |
学習費総額には、授業料や学校納付金だけでなく、給食費、学習塾、家庭教師、習い事などの学校外活動費も含まれています。
ただし、上の年間額を単純に在学年数で掛けるより、文部科学省が各学年の平均年額を合計した在学期間総額を見る方が正確です。
| 学校段階 | 公立の在学期間総額 |
|---|---|
| 幼稚園3年間 | 53万2,177円 |
| 小学校6年間 | 219万7,261円 |
| 中学校3年間 | 162万6,133円 |
| 高校3年間 | 178万4,895円 |
| 合計 | 614万466円 |
つまり、幼稚園から高校まで全て公立に通った場合でも、学習費総額は1人約614万円です。
3人なら単純計算で、
約614万円×3人=約1,842万円
になります。
ただし、これは一度に1,842万円を支払うという意味ではありません。
また、この金額には大学の費用が含まれていない点にも注意が必要です。
出典:文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査結果のポイント(訂正版)」
※文部科学省は、令和3年度・令和5年度調査の一部数値に誤りがあったとして、2026年1月16日に訂正を行っています。詳しくは文部科学省の正誤情報をご確認ください。
教育費の大きな山は「大学進学期」
幼稚園から高校までの教育費に加え、大学へ進学する場合は、さらにまとまったお金が必要になります。
国立大学の授業料・入学料について、国が示す標準額は次のとおりです。
| 項目 | 標準額 |
|---|---|
| 入学料 | 28万2,000円 |
| 授業料(年額) | 53万5,800円 |
| 初年度合計 | 81万7,800円 |
単純計算すると、4年間の入学料と授業料は約242万5,200円です。
ただし、これは入学料と授業料だけの計算です。
教材費、実習費、パソコン、通学費、住居費などは含まれていません。また、国立大学でも大学によって標準額と異なる授業料を設定している場合があります。
私立大学について、文部科学省の令和7年度調査では、私立大学学部の平均額は次のようになっています。
| 項目 | 平均額 |
|---|---|
| 授業料 | 96万8,069円 |
| 入学料 | 24万365円 |
| 施設設備費 | 17万2,550円 |
| 実験実習料 | 3万290円 |
| その他 | 9万6,374円 |
| 初年度学生納付金等の総計 | 150万7,647円 |
ここで注意したいのは、約151万円は4年間の総額ではなく、初年度に納める費用の平均だということです。
2年目以降も授業料や施設設備費などが必要になりますが、学部、大学、履修内容によって金額は異なります。
出典:文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果」
さらに大学費用は、
- 国公立か私立か
- 文系か理系か
- 医歯系などの学部か
- 自宅から通うか
- 一人暮らしをするか
- 奨学金や授業料減免を利用できるか
によって大きく変わります。
そのため、
「大学には一般的にいくらかかる?」ではなく、「わが家はいくら準備しておく?」を決める
という考え方が必要です。
9歳・6歳・2歳の3人家庭では、教育費がどう重なる?
それでは、長男9歳・長女6歳・次女2歳のモデル家庭で、教育費の時間軸を考えてみます。
| 現在からの目安 | 長男 | 長女 | 次女 | 家計で考えたいこと |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | 小学生 | 小学生 | 未就学 | 今後の積立方針を決める |
| 約6年後 | 高校進学期 | 中学生 | 小学生 | 塾・受験費用が増える可能性 |
| 約9年後 | 大学進学期 | 高校進学期 | 小学生 | 大学の初年度費用と高校費用が重なる |
| 約12年後 | 大学生または卒業期 | 大学進学期 | 中学生 | 2人の大学費用が一部重なる可能性 |
| 約16年後 | 社会人期 | 大学生または卒業期 | 大学進学期 | 次女の大学費用を使う時期 |
※実際の学年や進学時期は誕生日、現在の在籍学年、浪人・留年、進学先などによって前後します。
このモデルでは、3人が同時に大学へ通う可能性は高くありません。
それでも、
- 長男の大学費用
- 長女の高校・大学受験費用
- 次女の中学進学前後の費用
などが近い時期に重なる可能性があります。
特に負担が大きくなりやすいのは、上の2人の大学在学期間が重なる年です。
ただし、ピークは各家庭で異なります。
大切なのは「○年後が必ずピーク」と決めつけることではなく、1年ごとの予定を書き出して確認することです。

「3人同時に大学」が教育費のピークとは限らない
教育費のピークというと、
「子ども3人が同時に大学生になる年」
を想像するかもしれません。
しかし、年齢差によっては3人同時に大学へ通うことはありません。
それでも、
- 大学の入学料と授業料
- 高校の学習費や通学費
- 中学・高校の塾代
- 受験料
- 入学準備費
- パソコンや教材
- 一人暮らしの初期費用
- 毎月の仕送り
などが重なると、年間の支出は大きくなります。
また、入学する年だけでなく、その前年にも塾代、模試、受験料などが必要になる可能性があります。
つまり、本当の教育費ピークは、
わが家で、1年間の教育関連支出が最も大きくなる年
です。
3人が大学生になるかどうかだけで判断せず、受験前から入学後までの支出を含めて考えましょう。
教育費ピークのとき、住宅ローンはどうなっている?
現在30代から40代で住宅を購入した家庭なら、教育費がピークを迎える10年後、15年後にも住宅ローンを返している可能性があります。
つまり、その時期の家計では、
- 住宅ローン
- 教育費
- 固定資産税
- 住宅の修繕費
- 車の維持費・買い替え
- 毎月の生活費
- 老後に向けた資産形成
が同時に存在します。
教育費だけを取り出して、
「大学費用は払えそう」
と考えても、家計全体で見ると余裕がないかもしれません。
反対に、住宅ローンの返済額を抑えられていれば、教育費が増える時期にも家計の余白を残せる可能性があります。
教育費だけなら払える。では、住宅ローンや生活費まで含めた家計全体ではどうか。
ここまで確認することが大切です。
住宅ローンの金額を年収だけで決めない考え方は、次の記事で詳しく整理しています。
▶ 住宅ローンはいくらまでなら無理なく返せる?年収だけで決めない5つの考え方【3児パパ宅建士・FPが解説】
家の修繕時期とも重なるかもしれない
持ち家では、住宅ローンの返済以外にも、建物や設備を維持するためのお金が必要です。
例えば、
- 給湯器
- エアコン
- 食洗機
- キッチン・浴室
- 外壁
- 屋根
- バルコニー防水
などは、いつまでも同じ状態で使えるとは限りません。
現在購入した住宅に10年、15年と住めば、設備交換や大きな修繕を検討する時期が、子どもの高校・大学進学と重なる可能性があります。
だからこそ、
- 教育費は教育費
- 住宅ローンは住宅ローン
- 修繕費は修繕費
と別々に考えるのではなく、すべて同じ家計の時間軸に載せる必要があります。
住宅の修繕費と備え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ 中古住宅の修繕費はいくら?購入後にかかる費用と備え方を解説

教育費は「いつまでに」貯めればいい?
教育費は、大学入学の直前まで同じペースで貯め続ければよいとは限りません。
子どもが成長すると、毎月の生活費や教育費も増えやすくなるからです。
子どもが小さい時期
保育料などの状況にもよりますが、中学・高校と比べると、教育費を積み立てやすい家庭もあります。
将来必要になる金額を仮置きし、無理のない範囲で早めに準備を始めたい時期です。
中学・高校の時期
部活動、塾、受験、通学などの費用が増える可能性があります。
「大学進学まであと数年だから、ここから一気に貯めよう」と考えても、日々の教育費が増えて積立額を増やせないことがあります。
大学の時期
それまでに準備してきた資金を、実際に使う時期です。
そのため、
教育費が本格的に増える前に、大学進学に向けた資金の一部を準備しておく
という考え方が現実的です。
ただし、「○歳までに○万円なければいけない」という一律の正解はありません。
進学方針、収入、住宅ローン、現在の資産などを踏まえて、家庭ごとに決める必要があります。
3人分を一つの「教育費」としてまとめない
子ども3人の教育費を考えるときは、3人分をまとめて一つの金額にしない方が整理しやすくなります。
例えば、
長男の教育費
大学進学まで約9年。
使う時期が比較的近いため、必要額と現在の準備状況を具体的に確認します。
長女の教育費
大学進学まで約12年。
長男より準備期間は長いものの、長男の大学在学期間と一部重なる可能性があります。
次女の教育費
大学進学まで約16年。
上の2人より準備できる期間は長くなりますが、その間に家計や制度、進学方針が変わる可能性もあります。
同じ100万円でも、
3年後に使う100万円
と、
15年後に使う100万円
では、適した準備方法が異なります。
子どもの名前ごとに口座や管理欄を完全に分ける必要はありません。
ただ、家計表の中では、
- 誰のためのお金か
- 何年後に使うのか
- どの程度準備できているか
を分けて把握しておくことをおすすめします。
貯金とNISAは「使うまでの時間」で考える
教育費を準備するとき、
「貯金とNISAのどちらがいい?」
と迷う人もいると思います。
しかし、必ずどちらか一方に決める必要はありません。
数年以内に使うお金
預貯金など、値動きがなく、必要なときに使いやすい方法を中心に考えます。
使うまでにまだ時間があるお金
必要額の一部を現金で確保したうえで、余裕資金について長期・積立・分散投資を検討できます。
使う時期が十分先のお金
家計に余裕があり、価格変動を受け入れられるなら、NISAを使った長期投資も選択肢になります。
ただし、
大学費用だからNISAで準備すればよい
とは限りません。
大学入学の直前に相場が下落していれば、予定していた金額で売却できない可能性があるからです。
使う時期が近づいたら、一部を現金へ移すことも含めて考える必要があります。
教育費を貯金とNISAにどう分けるかは、次の記事で詳しく整理しています。
▶ 教育費は貯金とNISAどっち?使う時期で分ける3児家庭のお金の準備
※投資には元本割れの可能性があります。NISAを利用するかどうかは、家計状況やリスク許容度を踏まえて判断してください。
では、3人家庭はいくら準備すればいい?
「結局、3人分でいくら準備すればいいの?」
と思うかもしれません。
しかし、
3人なら1,500万円を貯める
3人なら2,000万円必要
というように、一つの金額だけで決めるのはおすすめしません。
次の3ステップで考えると整理しやすくなります。
STEP1|進学パターンを仮置きする
まず、現時点の想定で構いません。
- 高校まで公立を基本にするか
- 私立中学・高校も想定するか
- 大学は国公立・私立のどこまで考えるか
- 自宅通学を想定するか
- 一人暮らしの可能性があるか
を書き出します。
子ども本人の希望は成長とともに変わるため、確定させるのではなく、複数のケースを仮置きします。
STEP2|1人ずつ準備額を仮置きする
次に、
- 長男:○万円
- 長女:○万円
- 次女:○万円
と、子どもごとに準備したい金額を置きます。
大学費用の全額を親が準備するのか、一部を毎月の収入や奨学金などで賄うのかによっても目標額は変わります。
STEP3|一番お金が重なる年を見る
最後に、1年ごとの教育費を並べます。
そのうえで、
- 住宅ローン
- 住宅の修繕
- 車の買い替え
- 生活費
- 老後資金
- 資産形成
も同じ表に書き込みます。
見るべきなのは、教育費の総額だけではありません。
最も支出が重なる年を、収入と準備資金で乗り切れるか
です。
きつね家ならどう考える?
ここからは一般的な制度や統計の説明ではなく、3人の子どもを育てる当事者としての考えです。
わが家にも、9歳・6歳・2歳の3人の子どもがいます。
教育費を考えると、
「3人で合計いくら必要なのか」
という大きな数字に目が行きがちです。
もちろん、総額を知ることにも意味はあります。
ただ、私自身が住宅ローンを返しながら考えているのは、
そのお金が、いつ必要になるのか
ということです。
長男の大学進学までの時間と、まだ幼い次女の大学進学までの時間は違います。
必要になる時期が違えば、準備方法も同じである必要はありません。
また、教育費が増える頃にも住宅ローンは続きます。
家の設備交換や修繕が必要になるかもしれません。
だからわが家では、教育費を3人まとめて一つの数字として考えるのではなく、子どもごとの時間軸で考えることを大切にしています。
未来を正確に当てることはできません。
それでも、一度時間軸に書き出しておけば、
「この年は支出が重なりそう」
「ここまでに現金を増やしておきたい」
「住宅ローンをこれ以上増やすと厳しそう」
といった判断がしやすくなります。
教育費ピークを確認する「わが家の5項目」
最後に、各家庭で確認したい項目をまとめます。
- □ 子どもそれぞれが大学へ進学するのは何年後?
- □ 国公立・私立をどこまで想定する?
- □ 自宅通学と一人暮らしのどちらを想定する?
- □ その時点で住宅ローンはいくら残っている?
- □ 家の大きな修繕や車の買い替えと重ならない?
この5項目を、1本の時間軸に書いてみましょう。
完璧な金額を出す必要はありません。
まずは、
- 5年後
- 10年後
- 15年後
の家族の年齢と進学段階を書くだけでも、教育費の見え方が変わります。
子ども3人家庭のお金を教育費だけに限定せず、住宅ローンやNISAまで含めて考える方法は、こちらの記事でも整理しています。
▶ 3人の子どもがいる家庭はいくら貯金すべき?教育費・住宅ローン・NISAをまとめて考えてみた
まとめ|3人家庭の教育費は「金額×時間」で考える
子ども3人の教育費を考えるときに、大切なポイントをまとめます。
- 教育費は総額だけを見ない
- 3人それぞれの進学時期を確認する
- 1年間の支出が最も大きくなる年を探す
- 住宅ローンや修繕費も同じ時間軸で考える
- 使うまでの期間に合わせて準備方法を分ける
文部科学省の訂正後データでは、幼稚園から高校まで全て公立に通った場合でも、学習費総額は1人約614万円、3人で約1,842万円です。
さらに大学へ進学すれば、入学料や授業料などが必要になります。
ただし、この総額を今すぐ全て用意しなければいけないわけではありません。
大切なのは、
誰のお金を、いつまでに、どのように準備するか
を整理することです。
子どもの教育も大切。
家族で暮らす家も大切。
将来に向けた資産形成も大切。
だからこそ、「教育費はいくら?」だけで考えるのではなく、家族のお金がいつ必要になるのかを一緒に考えていきたいと思います。
家を買う。
子どもを育てる。
資産をつくる。
この3つを切り離さず、わが家に合った準備を考えていきましょう。


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