【日商簿記3級】超入門 財務諸表(P/L・B/S・C/S)の仕組みを理解しよう

簿記
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こんにちは、赤浦コウです。
本連載記事では、日商簿記3級に必要な学習内容を入門者向けに解説しています。

今回は、「財務諸表(P/L・B/S・C/S)」について、仕組みをとっても簡単に解説します。
「財務諸表」「決算書」「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」等々、聞いたことはあるけど、「結局、仕組みや違いがわからない」という人はいませんか? そんな人の悩みをスッキリ解決いたします。今回は、それぞれの仕組みや違い、関係性を端的に解説していきます。

「決算書」とは

企業の売上高や利益を見ることができるものです。では、なぜ企業はわざわざ決算書を公開するのでしょうか? それは、投資家や融資元の金融機関、取引先といった利害関係者(ステークホルダー)にとって、健全な取引を行う上で必要な情報だからです。
仮にあなたが投資家や金融機関の担当者だとした場合、売上や利益がわからない企業に投資や融資を行いますか? 答えはNOですよね。つまり決算書は、企業の利害関係者(ステークホルダー)のためであり、企業にとっても資金獲得(投資・融資をしてもらう)ためには公開することが必要となってくるのです。ちなみに、たまにニュースで聞く「粉飾決算」とは、事実と異なる数字で財政状況や経営成績をでっち上げ、決算書を作成・公開することを言います。

「財務諸表」とは

以下で解説する、「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」などの表のことを、財務諸表といいます。特にこの3表に記載される情報は重要で、「財務3表」とも呼ばれます。その他には、「株主資本等変動計算書」や「附属明細表」などがありますが、簿記3級ではこれらを掘り下げて理解する必要はありません。尚、財務諸表を作成する目的は、「決算書」と同じく、主には利害関係者(ステークホルダー)のためです。

決算書と財務諸表の違い

これから解説する「損益計算書」「貸借対照表」は、決算書であり財務諸表でもあるが故に、混同しがちですが、明確な違いは、「管轄される法」にあります。

決算書 → 税法
財務諸表 → 金融商品取引法

これだけ覚えておけばOKです。ちなみに簿記3級では、違いを問う問題は出題されませんので、「似ているけど、ちょっと違う」くらいの感覚で問題ありません。尚、巷では、ほぼ同義として使われていたりもしますので、違いを知っているとデキル人感を醸し出せるかもしれません♪

「損益計算書」:企業の収益性がわかる

1年間の利益と損失を表で表現したもので、英語で「Profit and loss statement」を略して「P/L(ピーエル)」とも呼ばれます。「借方:左」に費用と利益、「貸方:右」に売上を書きます。このように売上(収益)と費用を左右に分けて書く方式を、勘定式損益計算書といいます。報告式損益計算書もありますが、これは主に2級で学びます。

ポイント:損益計算書の5つの利益

利益① 売上総利益(粗利)= 売上高 - 売上原価
利益② 営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費(販管費)
利益③ 経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
利益④ 税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別損益 - 特別損失
利益⑤ 当期純利益 = 税金等調整前当期純利益 - 法人税・住民税など

※①から⑤になるにつれ、企業に残された利益が少なくなります。

上記の通り、売上高から様々なコスト(費用)を差し引いていくこで、最終的に企業の手元に残る「当期純利益」を算出するのが、損益計算書の役割です。つまり「収益-費用=利益」が損益計算書の基本となります。〇〇利益や〇〇損失といった項目の細かな説明は、今後のところで掘り下げていく予定です。今回は、あくまで仕組みを理解していただければと思います。

「貸借対照表」:企業の安全性がわかる

企業にどれだけの資産が残っているのか、資産をどのように調達したのかなど、「財産の残高」を表します。「借方:左」に資産、「貸方:右」に負債と純資産を書き、左右の合計が等しくなることから、「Balance sheet」を略して、「B/S(ビーエス)」とも呼ばれます。

ポイント:貸借対照表の構成

「借方:左」
資産 : 企業が保有するプラスの財産(現金、土地、建物、設備など)
     流動資産)現金や預金の他、1年以内に現金化できる資産
     固定資産)不動産などの1年以上経っても現金化できない資産
「貸方:右」
負債 : 企業が抱えるマイナスの財産(買掛金、借入金など)
     流動負債)支払期限が1年以内の借金
     固定負債)支払期限が1年以上先に設定されている借金

純資産: 自己資本(株主からの出資金、事業から生み出された利益)

上記の通り、資産、負債、純資産の状況(バランス)を知ることができるため、企業の安全性がわかります。黒字企業では純資産が増えていく一方、赤字企業では負債が資産を上回ります。この状態が続くと「債務超過」に陥り「赤字倒産」となる場合があります。

「キャッシュフロー計算書」:企業の成長性がわかる

読んで字のごとくキャッシュ(お金)のフロー(流れ)をまとめた資料です。「損益計算書」や「貸借対照表」ではわからない、現金の流れが書かれており、企業の成長性を読み取ることができます。「Cash flow statement」を略して「C/S(シーエス)」とも呼ばれます。キャッシュフロー計算書では、手元にどれくらいのお金があるのか、現金が1年間でどれだけ増減したかがわかります。それから、キャッシュフローは以下の3つのキャッシュフローに分かれます。

営業活動によるキャッシュフロー(営業CF)

本業の営業活動によるお金の流れで、キャッシュフローの中でも最も重要な部分です。
営業CFがプラスならば、本業が好調であることがわかります。一方、マイナスの場合、業績不振により資金繰りに不安要素があることがわかります。

投資活動によるキャッシュフロー(投資CF)

設備投資や先行投資など、企業が何にどれだけ投資したか、あるいはどれだけ資産を売却したかがわかります。
積極的に投資を行うと投資CFがマイナスになります。逆にプラスの場合は、有価証券や固定資産を売却したか、投資活動に消極的であることがわかります。

財務活動によるキャッシュフロー(財務CF)

企業がどのようにお金を調達したかがわかるものです。金融機関からの借入金の返済や、株式発行などの財務活動により、どれくらいの資金を調達したかを示します。
プラスなら株式発行や金融機関からの借入などの手段で資金調達をしたことがわかります。マイナスの場合は、借入金の返済をしたことを意味します。
実際の取引では、現金の入金までにタイムラグが発生する場合が多くあります。例えば、クレジットカード決済や掛け取引(後払い)の場合などの場合、「損益計算書」では黒字計上しているにも関わらず、手元に現金がない期間が発生します。その間に、費用の支払いや借入金の返済などを行うと一時的に現金が枯渇し、「黒字倒産」となる場合があります。

財務3表のつながり

これまで財務3表について仕組みと違いを解説しましたが、個別に読むだけでは企業の財務状況を正確には把握できません。より理解を深めるには、それぞれのつながりを知ることが大切です。とは言うものの、簿記3級は下記の通りざっくりの流れを理解できていれば良いでしょう。

起業するには資本金が必要 (貸借対照表に表示)

事業活動による売上や経費利益など (損益計算書に表示)

実際の現金の流れ (キャッシュフロー計算書に表示)

ちなみに、簿記3級では、キャッシュフロー計算書に関しては出題されません。しかし、財務3表は密接につながっており、まとめて理解することが大切なので、今回は敢えて解説させていただきました。

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まとめ

今回は、財務諸表の仕組みや違いついて簡単に解説しました。特に「損益計算書」「貸借対照表」は、簿記の基盤となる部分でもありますので、仕組みを理解いただいた上で次のステップに進むと、以降の学習理解度がグッと向上します。今後も自身のつまずきポイントなどを踏まえ、簿記3級の超入門編として発信していきます。

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